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成年後見人の申立て

本日、両親の成年後見人を家庭裁判所へ申立てました。

本日のテーマは写真とは全く関係がない堅い話なので、興味のない方はパスしてください。

成年後見人制度とは認知症高齢者、知的障碍者など判断力が低下した人に対して、本人に代わって財産管理等を行う後見人を設定して、そのような方々を法律的に保護する制度であり、家庭裁判所に後見人候補者を申立て、裁判官による審判を受けて後見人を選任してもらいます。
後見人に選任されると本人に代わって預貯金などの財産管理や、各種契約を代行することが出来るようになりますが、後見人が本人の財産を私的に使ったりすることがないよう、厳しい監査を受け、私的に財産を使ったことが判明すると後見人を解任されるばかりでなく、犯罪行為として処罰されます。
今回は、すでに特別養護老人ホームへ入所した母と、認知症が進んでいる父の2人に対して私と、弟が後見人候補者として申立てしました。

最近は、後見人に関して、いろいろなメディアから紹介されているので、ご承知の方も多いとは思いますが、申立てるにはいろいろな申請書類や診断書、確証などが必要で、本当に大変でした。 準備した書類の種類だけで、父用として32種類、母用として25種類、それらの大半が一筋縄ではいかない内容で、準備を開始してから、申立てできるまでほぼ3か月かかりました。

高齢の両親は4~5年ほど前から、体力低下や認知症のため世話が必要な状況となり、私と家内で毎週末に都内の実家へ出かけ、その合間は弟と、ヘルパーさんが世話をするような状態となっていました。

後見人申立てのきっかけは、昨年春に、父が悪徳工事業者に騙されて不要な工事をされてしまい、不当な工事費を取られたことが分かり、消費者センターの協力を得て、その業者と交渉し、取られた金の約80%を取り戻すことができました。 その際、消費者センターに隣接する後見人相談センターを紹介され、もし後見人が設定されていると後見人を介さない契約はすべて法的にキャンセルできるとのこと、後見人の申立てを勧められました。
今年になって母が歩行不能となって入院し、退院と同時に介護施設入所することができましたが、施設への費用支払や、紛失した貯金通帳の再発行などのためと、父の認知症が進んできていることから、後見人を申立てる必要があると判断したわけです。

申立てに必要な書類で、まずは、申立書、後見人候補者の説明書、双方の戸籍謄本や住民票でこれらは役所に請求したり、内容を記入すればすむものですが、その他の書類は本当に大変でした。

親族関係図
本人の両親や兄弟や子供などの系統図を作成し、各々について生年月日は死亡月日を記入するようになっています。
両親の父母や付き合いのあった兄弟姉妹の名前は分かりますが、すでに死亡した人の、生年月日や死亡月日などは簡単には分かりません。 特に母のほうは、親戚付き合いが限定されていたため、戦死した兄とか、付き合いのない兄弟姉妹の名前や消息は不明でギブアップし、センターに相談するとわかる範囲だけでもよいとのこと。 
両親の隠れた部分を知ってしまいました。

財産目録
本人の不動産や預貯金、保険契約、金融資産について、一覧表を作成し、確証として、不動産については謄本、預貯金は銀行名口座番号に加えて残高が分かる通帳のコピーが必要です。
これらの一部は、わからない場所に保管したり紛失したりで、口座の一覧表だけは出てきたのでそれを頼りに通帳の再発行を依頼しましたが、ゆうちょ銀行だけは本人または後見人でないと通帳の再発行はおろか残高証明も発行できないとのこと。
そのため、ゆうちょ銀行分だけ推定値でなんとか目録は作成できました。 
当初想定していたよりも財産があることが分かりました。

収支状況報告書
直近2か月分の収入と支出の明細ですが、食品、日常品などの生活費を除いて、すべて確証が必要です。
年金の振込通知書や源泉徴収票、介護保険、後期高齢者医療保険の金額通知書、住民税の決定通知、固定資産税の納税証明などで、これらの一部は出てきましたが、大部分は行方不明でした。 そこで区役所や納税事務所、登記所、社会保険事務所に回って、再発行をお願いしましたが、委任状が必要とか、本人の自宅に送付するとかで、門前払いになりかけましたが、本人と私の戸籍謄本や運転免許証を見せて親子関係であることを証明し、後見人申立てのためと準備しかけている申請書類の束を見せ、ある役所で特例的に発行してもらうことができました。 以降は、あの役所では発行してくれたとねじ込むと、それではと他の役所も発行してくれるようになりました。
役所の原則論もやり方次第では打破できます。 
医療費や光熱費などは預金通帳の引落欄に引落先が明記されているとそれも確証になります。

診断書
所定の様式の診断書に、医師により所見を記入してもらう必要があります。
母の場合は要介護5で施設に入っており、診断書も適切に記入されていましたが、父の場合は、かかりつけの医師に書いてもらったところ、後見人用の診断書は初めてとのことで、申立てする前に某所でチェックしてもらったところ、まったく不適当な内容で、これでは通らないと言われてしましました。
必死になって別の医師を探し、直談判した結果、翌日、MRIによる検査を含めて詳しく診察して下さり、脳萎縮が進行しており、アルツハイマー型認知症であり、自己の財産管理は不可能との診断書を得ることが出来ました。
各書類は、発効日から3か月以内でなけらばならないと定められており、普通に診断書を書きなおしてもらうには一週間以上かかると言われ、そうすると期限が過ぎてしまう書類が生じてしまうため、必死でした。
泣き落とし作戦も時には効果があります。

書類の作成
通常は家庭裁判所や後見人相談センターから書式をもらい、記入するのですが、家庭裁判所のサイトから必要書式がダウンロード出来ることがわかりました。
父と母用に似たような書類を2通ずつ作成しなければならす、ペンで記入すると修正する場合は大変なので、PCで入力しようと関係書類をDLした結果、一部はワードでしたが、他はすべてPDFでした。
PDFだと文字をPCで記入することは少々厄介です。 経験上、イラストレータを使うとPDFでも編集可能ですが、1ページずつ処理しなければならず、少々面倒です。
そこでPDFの文面をパワーポイントに張り付けてその文面を背景にして、テキストボックスによりフォントをちょっと変えて記入する方法を採用しました。 PDFの文面をパワーポイントへ張り付けるには裏ワザがありますが別途紹介したいと思います。
財産目録や収支状況報告書は当然ながらエクセルです。
このように診断書やごく一部を除いて、すべて電子入力としたため、追加修正は容易でしたし、見た目もすっきりとまとめることが出来ました。

仕事上で、各種文書つくりは慣れていましたし、以前に、税務監査や会計監査の対応を担当したことがあり、役所に提出する書類は体裁よくまとめることも重要ですが、どこまでもつじつまを合わせることと、確証は不足なく準備することが必須であること体験しており、そのような経験が役に立ちました。

本日は指定された日時に出頭したわけですが、受付で書類を出すと、まずは、どなたが作りましたと聞かれました。
一般の方がこのようにきちんとした書式で作ることは珍しいとのことで、司法書士が作成したのかと、間違えられました。
今回、後見人を申立てるについては、調べれば調べるほど複雑かつ面倒で、司法書士に任せるとか、途中でギブアップしてあきらめる方が少なからずいるとのこと。 
今までも各種文書つくりは経験しており、申立て書類を作るならば、司法書士の上を行く書類を作ろうとチャレンジしてみたわけで、各種確証のコピーもカラーで本物そっくりに作ってみました。
結果、担当官による面接の際に、非常によく出来ており、基本的には問題ないと言われながらも、つまらないミスを2か所指摘され、ペンで修正し、修正印を押さなければならなくなってしまったことが、残念でした。
書類つくりも画像処理が役に立ちました。

審査され結論が出るまで3か月ぐらいかかるそうです。
また、後見人に選任された後も大変そうです。

高齢の認知症の方には後見人をと宣伝していますが、よほど気合いを入れて取り掛からないと挫折しかねないほど大仕事です。
役所仕事は面倒がっていたらできません。

写真は家庭裁判所の帰りに寄った有楽町駅付近です。
DSC05638-t.jpg
DSC-TX7


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YUTAじい

こんばんは。
私の父も・・貴重な体験談ありがとうございます。
by YUTAじい (2010-09-18 00:48) 

kimiko

申し立て書類全てを完成させた。ということだけで「凄い!」と思いました。
突然母が昏睡におち、すべてのコトを代ってやらねばならなくなって、この制度のことを郵便局で教えて貰いました。。
母の満期定期預金が代理ではおろせなかったことから。。
書類の多さもですが、申請するにあたって25-30万ほど準備しておく必要があります、と言われ断念しました。
痴呆症に罹られたお父様、要介護となられたお母様を守るためには後見人制度は必要だと思います。
なれるのは限られた条件の人なので、相続人の同意が得られればよいのではと思うのですが、お役所の仕事は万が一問題が起きた時の保身?と思えてしまう。。しかも、必要書類取得にも全てお金。。;;

仕事の合間に書類も揃えて…中々できませんよね。ホントお疲れさまでした。
物忘れが増してきたこの頃、自身のこともキチンとしとかなきゃなぁと。^^;

by kimiko (2010-09-18 08:22) 

papilio123

いやはや凄いですね。私には到底出来ません。
3ヶ月以内というのも無理難題のように思えます。結局は司法書士の仕事作り制度なんでしょうね。
高齢の親御さんの話を周囲の知人から頻繁に聞くようになりました。
コーミンさんも退職されてからもいろいろお忙しいようで大変ですね。
それでも私のように「親孝行、したい時には・・・」というのもまた辛いものです。
by papilio123 (2010-09-18 11:30) 

yukinyaa

お疲れ様でした。
そこまでやりとげられたのは、やはりコーミンさんだからだと、あらためて敬服の念を強く致しました。

私も、母の記憶が急激に衰え、預貯金のことが不明になりかけたとき、成年後見人申請のことが思い浮かびましたが、それ程までに複雑で大変だとは思いませんでした。
もし申請しようとしていたら、自力解決は不可能で挫折していたと思います。

受理されたなら、審査は通るのではないでしょうか?
通ることをお祈りします。
by yukinyaa (2010-09-18 19:21) 

コーミン

YUTAじいさんへ
ありがとうございます。
極めて個人的なことでしたが、参考になる方もいるはずだと思い紹介しました。

Kimikoさんへ
申請をあきらめたようですね。
手間はかかりましたが、費用はそんなに25-30万なんてかかりません。
最大は診断書で1万円、細かな資料請求で3000円ぐらいでしょうか、申請時の印紙や切手代として9100円、交通費などの経費を除けば3万円/人ぐらいです。
診断書や、申立て時の書類の内容によっては医師による鑑定費用が5~10万円ぐらい必要ですが、今回は父母とも鑑定する必要はないとのことであとは結果待ちだけです。

papilio123さんへ
書類つくりが慣れていない方にとってはたしかに大変だと思います。
今まで働いてきた間に、種々の書類作成や事故処理、企画立案を経験しており、いわば会社の仕事の延長のような状態でこなすことが出来ました。 今までの経験が役に立ちありがたいと思っています。

yukinyaaさんへ
またまた凝り性が出てしまいました。
やるなら徹底的に、かつ最高にをねらったのですが。
申立て以前に何回も見直してミスをつぶしたはずだったのですが、指摘されてしまいました。
担当官の話では、まず申立て通りに審査は通るはずとのことでほっとしています。
書類提出後2時間ぐらい待たされたのですが、その間に、書類の再提出された様子の方も見受けました。
本来はもっと手続きを容易にすべきだと思いました。
by コーミン (2010-09-18 22:07) 

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