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D800の輪郭強調を検証 [D800]

デジ一眼やコンデジの大部分もモデルは、モアレを防ぐために、撮像素子の表面にローパスフィルターが貼り付けられています。
このローパスフィルターのため、撮像画像の輪郭部分には、わずかなボケが発生し、解像度が低下することになります。
JPEG画像の場合は、解像感を回復するため、カメラ内部で輪郭強調処理が施されますが、デジ一眼、コンデジ等の多くのモデルの輪郭強調は、画像の輪郭部分の明暗を歪ませて、見かけ上の解像感が向上するような手法が取り入れられています。

これを分かりやすいようにしたシミュレート画像です。


左はローパスフィルターなしで撮影された画像と仮定し、中央はローパスフィルターにより輪郭がぼけた画像、右は輪郭強調処理により解像感を向上させた状態を復元した画像です。

右を注目すると輪郭の外側に白いリング、輪郭の内側に黒いリングが生成され、輪郭部の明暗差を高めることにより、見かけ上の解像感は向上させるリンギングと言われる処理です。

リンギング処理は一見見栄えは良いのですが、画像を歪ませるため、画像品位を低下させることになり、個人的には以前より問題視しており、RAW現像時にリンギングが最小となるような輪郭強調処理を施しています。


D800は3600万画素の超高解像度のカメラであることから、カメラ内での輪郭強調処理の改善を期待したのですが、やはり今までと同様のリンギングが発生する輪郭強調で、その点では期待外れでした。

このビール缶の写真を題材として、D800の輪郭強調を検証してみました。

レンズは60mmマクロ、絞りはF8、三脚を使用し、ミラーアップしてレリーズケーブルを使用し、ブレが極小となる条件で撮影したJPEG画像で、クロップと縮小以外は一切加工していません。



上の画像の中央部を100%等倍でクロックした画像
D800のピクチャーコントロールはスタンダードで輪郭強調は3です。


200%に拡大してみましたが派手にリンギングが発生していることが分かります。


次に同じ画像のRAWを輪郭強調をすべてゼロで現像。


200%拡大画像です。

リンギングはほぼゼロですが、2ピクセル程度の範囲で輪郭がぼけています。

次はSilkypixでRAW現像の際にピュアディテールと呼ばれる輪郭強調処理を施した画像


200%拡大

輪郭強調されていますが、リンギングは格段に少なくなっています。

Capture NX2やCamera RAWでは輪郭強調をゼロにしてアンシャープマスクを施すことでほぼ同じような仕上がりになります。

この方法だと輪郭強調が改善されるだけでなく、ディテールを損なわないでノイズを減少させる効果もあるようです。


NikonのホームページからD800のサンプル画像をダウンロードして検証。


椅子の脚や背もたれにリンギングが認められました。


D800Eの画像もダウンロードして検証してみましたが、さすがローパスフィルターがないためか、輪郭強調は最小にしか施されていないようで、リンギングは目立ちませんでした。
C社の最新デジ一眼の画像も見てみましたが、D800とほぼ同等のリンギングが認められました。

D800は写したままでもかなり良い画像が得られるので輪郭強調の処理の方法が貧弱であることは惜しいと思います。

RAWでの撮影なら、RAW現像時に是正することが出来ますが、JPEGのみの撮影の場合は、ピクチャーコントロールで輪郭強調をゼロにして撮影することをおすすめします。 輪郭強調ゼロでも他のカメラと比べると解像度は高いのですが、撮影したJPEG画像に対してフォトショップなどの画像処理ソフトでアンシャープマスクを施すことで、リンギングを抑えて細部の解像感をさらに向上させた良質の画像に仕上げることが出来ます。


ついでながら、題材としたビール缶の写真を作品風に仕上げて見ました。
       

 このビールは先ほどおいしくいただきました。


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